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初恋-出会い

遠い遠い記憶を呼び起こしてみる

…初恋

多分、あれが私の初恋だったと思う。


私が小学生の時、隣に飯山さんという家族が引っ越してきた。
三人家族で、一人っ子の男の子がいた。
男の子だけど、私よりは大きい。
高学年だったと思う。
けれど、一緒に学校には行った事がなかった。
当時、私たちの小学校はグループ登校だった。
近所の子たちをひとつのグループにして
大人数で登校したものだった。
帰りも、高学年が低学年と帰るという徹底ぶりだった。
何か事件があったのかもしれない。
今となっては思い出せないけれど…。

土曜日の午後、学校から帰ってきた私は、
友達のあかりちゃんの家に遊びに行く為に家を出た。
大きな白い色の車が、隣の家の前に止まった。
見たこともない、大きな車。
私の家にある車より、はるかに大きい。
バタンと音がしたので、ずっとその車を見ていた。
音は、車のドアを閉める音で、中から出てきたのは、
一人っ子の彼だった。
大きな眼鏡。
今思えばサングラスと分かるけれど、
当時の私にはサングラスなど知らず
目にかけるものは、全て眼鏡だと思っていた。
色の入った、薄い黒い色の。
何だか、とても怖かった。
でも、その場から動けなかった。
そんな私に気が付いたおばさんが
「あら、お隣の祥代ちゃん。」
と声を掛けてきてくれた。
一瞬、ビクッと驚いた。
「こ、こんにちは。」
急いで挨拶をすると、彼もおばさんも挨拶をしてくれた。
「こんにちは。」
「こんにちは。よっちゃん、ここにいてね。車を入れて来るから。」
おばさんはそういうと、車の運転席に座りハンドルを握った。
瞬く間に車は車庫の中に入って行く。
「君、祥代ちゃんって言うの?」
「うん。私、合田祥代って言うの。」
「ふーん、ゴウダ サチヨか。僕はね、飯山義彦。」
「イイヤマ ヨシヒコ?」
「そう。だから、お母さんはよっちゃんと呼ぶんだよ。」
「私もよっちゃんって呼んで良い?」
「うん、いいよ。」
車を入れ終わったおばさんが車庫から出てきた。
「あらあら、仲良くなったの?」
「うん、今、お友達になったよ。」
私がそう答えると、おばんさは嬉しそうにほほえんだ。

by ddack1 | 2004-09-18 12:09 | そして、もうひとつ…